人災絶頂期

絶対三日坊主宣言

赤い靴

赤い靴のお話含め、そもそも赤い靴自体が好き、ということもある。昔読んだ絵本は原作に忠実だったが、歌を聴くとまた違う話にもなったり、横浜に行けばグッズがあったりと、なかなか皮肉じみた部分も含めて、好きだ。

つるりとして光沢がある、赤い靴。あの可愛らしさは他のどの色でも表現できないし、赤い靴が好きだという少女のセンスは素晴らしい。フォルムの可愛い靴を履いているとテンションが上がるが、その感覚も、少女は自覚すらない幼い時から持ち得たものということが凄い。

指にはめて歩かせるタイプの靴があるが、あの造形がリアルであればあるほど興奮した。昔に読んだ本の中に、ちょうどその大きさほどの靴のような花をつける植物が出てきた。挿絵もあったが、うっとりするほど美しかった。小さな靴を見ると、今でも指を入れて遊びたくなる。

赤い靴について、丸みを帯びたイメージが強いため、赤いヒールでは話が違う。あくまでも靴底は低いものだ。きっと歩くと軽快な音楽が生まれるもの。ヒールのように、刺すような音が響いてしまってはいけないだろう。

歌がある。赤い靴履いてた女の子、から繋がる、少し悲しげな音と言葉で紡がれた童謡だ。合唱団でも歌いはしたが、それには背景の物語があるそうで、それは今更になって知った。「きみ」ちゃんと言う子の話だそうだが、赤い靴を好んで履いていたかは分からない。9歳に結核で亡くなるまでは、泣く泣く宣教師に預けられたり、宣教師から孤児院に預けられたりしたらしい。本人のエピソードに比べて、歌への脚色はかなりの物だ。伝記や童謡なんて、きっとそんなものなのだろうし、だからこそ夢がある。不謹慎かもしれないが、その曲から見えてくる決して「きみ」ちゃんではない他の誰かに空想のヒントを得ることは、決して悪いことでは無いはずだ。

赤い靴をタンタカタンと鳴らして走る女の子。明るい昼の港町も、教会へ行く石畳も、夜の暗い森に輝く星の光ですら似合う。好きな子がいたら、一度は赤い靴を履かせたいものだ。赤い靴の話でした。